2011年5月13日金曜日

東大生は「未来イシュー」に取り組んだ.第1回i.schoolワークショップ②


未来イシューを行うためには,
まずそのテーマ(今回でいう日本の農業)のフィールドワークおよび,
有識者にヒアリングを行うことによる知識のインプットから始まった.

今回はインプットは,農業法人サラダボウルから学ばせていただいた.
まずはじめに実際に農業法人サラダボウルの農場に訪問し,
働かれている従業員の人や,グリーンハウスのトマト菜園を見学した.
そして,そのあと代表からのレクチャーを受けた.

以上のことについて感じたこと,
思ったことは過去の記事でもいくつか書いた.
「なにをしようかではなく,なにをするのをやめようか」が経営者が考えること.
 農業生産法人サラダボウル代表
「実はどの企業も地道なことをずっとやって,極めているだけなのだ.」
 農業生産法人サラダボウル代表

そして,その他にも7点ほど,
日本の農業に関して大きな学びがあったのでここで紹介する.
①食糧自給率の問題:
実はカロリーベースを用いているのは日本だけ.
カロリーベースで自給計算を場合,
たとえ国内で多く野菜が作られたとして,カロリーの低いものは影響が小さいのだ.
40%の自給率なのにスーパーで外国産の野菜が6割ないということに気づいただろうか.
②耕作放棄地:
遊休地率は長崎が1位,山梨が次ぐ.
しかし,もともと農地にすべきでなかった土地が遊休地になっていることが多い.
③就業人口減少:
農業の衰退と就業人口減少には関係ない.
逆に人数が減れば一人当たりの生産性を上げる条件になる.
④輸入農作物:
安い農産物であり続けることはない.
これからは新興国との争奪戦が起こる.魚と同じように.
⑤農地法改正:
農地を持つ人の産業から農業に取り組みたい人の産業へ.
⑥6次産業化: 
農業に付加価値をつけるという触れ込みで補助金が付くが,
本業が不調だからサイドビジネスに手を出す企業が
大抵失敗するのと同じようにうまくいかないことが多い.
⑦植物工場:
まだ採算が取れるまでになっていない.
もともと単価の安い産品を生み出す産業であることの難しさがここにある.

などなど…
いままでの日本の農業に対する考えが,
根本から変わるようなことをいくつも今回知ることができた.

さて,未来イシューとはなにか.少し説明したいと思う.
未来に起きる出来事(イシュー)の争点や初期仮説,
およびそのイシューが実現する分岐点(フラクチャーポイント)が
なにであるかを明らかにすることだ.

それを今回は課題図書,フィールドワーク,そして代表からのレクチャー
などから自分たちが気づいたことをまずチームで共有する.

私たちのチームでは,その気づいたことをすべてポストイットに書いて,共有.
そして次にある程度グルーピングしてキーワードをつけた.
今回のトップ画像はちょうどチーム内でそれが終わったところの一枚だ.

グルーピングして出したキーワードから演繹的思考をつかって,
最初の前提から,次の前提を導くことに.
ただし,その際に次のイシューの切り口を近郊野菜農業に当てはめる.
”生産”はどう変わる?”
”流通はどう変わる?”
”消費はどう変わる?”
の郡とそのときの
”プレイヤー”は?
”動機や仕組み”は?
”実際の行動”は?
※ちなみに近郊野菜農業に指定したのは,
農業があまりにも大きすぎるテーマのためだ.

そして,以下が書かれたシートに書き込む.

近郊野菜農業の”○○” × ”△△”

「これまでは...」だったものが「これからは...」になる.
そしてそのように感じた理由やディスカッションされた内容を記入する.

といってもイメージがしにくいと思うので,
私たちのチームでのアウトプットを紹介したいと思う.

近郊野菜農業の”生産” × ”プレイヤー”
いままでは,”農業スキルが暗黙知で共有する方法ないもの”だったが,
これからは,”農業スキルが形式知化されることで,誰でも参加可能”になる.
その背景として,
”見て,真似よ.という形式知を守ってきた文化がなくなってきた.”
”前職で経営をやっていたサラリーマンが農家をやるようになってきた.”
などなど.

このような感じのものを最低3枚作成し,
他のチームと共有タイムを儲け発表する流れになった.
ここまでで,未来イシューは終わりとなる.

ここの未来イシューは主に,
FACT(即知)とFAITH(知らないということを知っている)領域からの
未来洞察をしたことになっている.

そして,次にFEAR(知らないことすら知らない)領域からの未来洞察.
それが「スキャニング」による社会変化仮説の策定だ.

東大生は過去の「日本の農業」を捨てた.へ続く...

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