韓国KAIST大学で行われた第3回ワークショップの詳細を順に紹介しよう.
ただし,今回のワークショップは初のコラボレーションだったため,
必ずしも全体が綺麗にまとまるとは限らない(自分の理解不足かもしれないが)ので,
役に立ちそうなところだけ読んでいただければと思う.
まず初日の午前中には,i.schoolからチームにおけるアイスブレイクが行われた.
DAY 1 ICE BREAK "TEAM SKIT"
内容はスキットによって,
お題として出される「モノ」の仕組みをチームで表現することである.
例えば,あるチームではサラダスピナーが渡され,
その仕組みをチームメンバー全員でスキットで表現することになる.
ハンドルを回す人,回されるハンドルを演じる人,
かごを演じる人,飛ばされる水を演じる人.
みなが制限時間内でうまくスキットで表現する.
スキットはもうi.schoolではすっかり馴染みのことであるので,
逆に今回初めてであるKAISTの学生にそれをうまく伝えることも求められた.
言葉だけでなく,身体も使ってチームワークを行う必要があるこの方法は,
異文化同士でのアイスブレイクには非常に良かったと思う.
さて,今回は午後から行われたダウンロードのフレームワーク,
IDEA-BROKERINGの説明を重点に紹介する.
DAY 1 DOWNLOADING FRAME WORK "IDEA-BROKERING"
目的:テーマにおけるお互いの国の共通点と違いの特徴の理解を深める
手法:ファクトカード,2by2,グルーピング,全体共有
ステップ①「ファクトカードの作成」
ステップ②「ファクトカードの共有」
ステップ③「2by2によるグルーピング」
今回は全部で5チーム(各チーム7,8人)で,
各チームには共通のメインテーマ「高齢者の外出を支援する」に加え,
異なるサブテーマが与えれた.そのサブテーマは以下であった.
Theme A) Transportation. What are the means of transportation?
Theme B) New Values. Any emerging trend or phenomena that can be observed among the elderly. In areas such as fashion, healthcare, entertainment, or any other area.
Theme C) Old Value. How do the elderly appreciate, keep, or promote their old values? Where can you see them? It may not be shared between the younger generation or not necessarily valid to the society today.
Theme D) Social Relationship. What makes the elderly social? What are the occasions? How do they maintain their relationship? Anything that hinders/promotes them to be social?
Theme E) Giving What They Have. The elderly have so much to give, whether they maybe their skills, wisdom, time, or money. What are they offering to the younger generation or to the society, and when can you see them?
ステップ①「ファクトカードの作成」
各チームは与えられたサブテーマにおいて「ファクトカード」を
事前課題として作成していくことになっていた.
このファクトカードとは前回の第2回ワークショップでも事前課題として出され,
ゲームの導入として作成し,使用した.
今回もほぼ同じであるが,前回と違うのは
今回はできるかぎり自分で外に出てフィールドワークをしてくることと,
みな同じにフォーマットになるようにテンプレートがあらかじめ指定され,
与えられていたことだ.
・ファクトカード作成のポイント
i. 発見した事柄を最もよく表すタイトル
ii. 発見した事実の説明と,自分がそれを選択した説明
iii. その事柄を最もよく示す写真
私のチームのサブテーマは「Old Values(昔の価値観)」であった.
今回自分が作成した中のうち一つをテンプレートとして紹介する.
Wanna go Traveling but…don’t Wanna Trouble Anyone.
“I have money. I have time. I have many places that I want to go to. BUT…”This was one typical phrase that could be heard among elderly. Elderly in Japan when young have been working very hard earning a lot of money. So, when becoming old they have quite amount of money. They also have time too. In addition they have desire to want to go traveling. However in most cases they do not. One of the reasons for this is because they have a strong mind that they do not want to trouble anyone. If there is even a slight chance of troubling someone, they would simply just choose not to.
このようなファクトカードを一人最低3枚作成することが求められた.
<マイ・ポイント>
・「事実を突き詰めるより生の情報が重要」
今回みたいに日本と韓国で情報を共有するとなると,
お互いがためになるようなしっかり突き詰めた事実を探してこようとする.
しかし,今回のファクトカードを使って論文を書くわけでは決してない.
あくまでも一つの発想のきっかけとして使うものである.
つまり,その発見した事実の説明となぜそれを自分が選んだかの
生の情報が最も重要なのである.
ステップ②「ファクトカードの共有」
ここから作成してきたファクトカードの共有を行う.
・ファクトカード共有の手順
i. チームのうち一人がファクトカードをみんなに見せながら紹介する
ii. 聞いている人たちは,ポストイット(国で色分け)に対する自分の新たな発見を書く
iii. ポストイットをファクトカードに貼る
iv. 発表者のファクトカードに似ているものを持っていれば,それを紹介してもらう
v. 他の人の意見に重ねることを意識する
詳しくは,
東大生は「ゲーム」に出会った.第2回i.schoolワークショップ①
も参考にしてもらえるといいと思う.
ステップ③「2by2によるグルーピング」
共有が終わったところで,
最後に共有したファクトカードを2軸(2by2)にのせグルーピングする.
・2by2によるグルーピングの手順
i. 2軸をなににするか決める
ii. 決めた2軸にファクトカードをプロットしていく
iii. 近いもの同士をグルーピングする
iv. そのグループのポストイットから思い浮かぶタイトルを各グループにつける
たとえば,私たちのチームでは軸をそれぞれ,
「日本」と「韓国」.「自分達がやりたいからやる」と「社会義務」にした.
<マイ・ポイント>
・「軸はいろいろ遊んでみる」
軸を決めるのは簡単なことではない.必ず戸惑いは生まれるだろう.
しかし,このプロセスはそもそも「正解」を探すためにやっているわけではない.
いままで気づかなかった「面白い発見」を探すためにやっているのだ.
つまり選んだ軸に正解などない.
しかし,私たちは気づいたらベストな解答をもつ軸を一生懸命さがしていたりする.
自分のチームを振り返ってみると「日本」と「韓国」の切り口は,
「良い解」を導こうとしたために決めてしまったと感じた.
そのためプロットしてみえた発見にはあまり面白みがなかった.
もちろん限られた時間でこの作業をやるのは難しいことではあるが,
ぜひ次回はもう少し勇気をもって軸を決めるのがいいかもしれない.
以上がIDEA-BROKERINGによるダウロードだ.
これによってチームで日本と韓国の高齢者の特徴を共有し,
さらには新たな発想までを理解した.
次回からはDDP(Discovery Driven Prototype)の紹介に入る.
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