2010年4月17日土曜日

「分けて考える(対比する)」 第2回イノベーションケーススタディ

最近日本企業が負ける一つの要因として,

「意思決定が遅い」こと
また,最終的に

「どこまでリスクをとるのか?決めることができなかった.」
ということが問題としてあるのではないかという話しがあった.

どこまでリスクをとるのか決められないと、

「相手が選んでくれればハッピーという考え.」
に落ち着いてしまう。これでは勝てるはずがない.
一方で成功している企業の多くは,
経営者個人のカリスマにかかっているという指摘もあった.

前回の課題として出た,
「経営とはなにか」に対してだが,まず,

「経営とはなにか?分けて考える(対比する)」
が良いということである.

例えば,
「本社の役割とは?」の問いに対して、

「逆に本社がなかったらどうなるか?」
を考えてみると良いということである.

ちなみに,
経営とは「決める」こと
が先生の回答であった。

次回までの課題
IBMのSmarter planetまたはGEのEcomaginationについて,
① どのような概要か説明すること(事実)
② ビジョンの意義について考察すること(意見)

2010年4月15日木曜日

「なにをしたいのかわからない」学生と会社 第2回イノベーションケーススタディ

「最近の若者はなにがしたいのかわからない」
ということだ.

たしかに,同世代の学生に将来なにをしたいのか?
と聞いても,自信を持って答える人数は少ないだろう.
僕もはっきり言えるかと聞かれると,少し考え込んでしまう.

しかし,実はこの状況は学生以外でも同じ状況を持つものがいるという.
それは…

「日本の会社である.」
今の日本の会社が直面している状況と学生の状況が似ているということである.
いままでは、日本の会社はトップになろうと,
ずっと目標に向かって必死に走ってきた.そして念願のトップにたどり着いた.
それは,すばらしいことである.

しかし,同時に会社は目標を失った. 

日本の多くの学生は「大学」という目標に向かって必死に勉強をする.
そして,大学に合格する.

しかし,同時に目標を失ってしまい,勉強をしなくなる学生も多い.

これより,

「学生と企業の今の状態は非常に似ている.」
という考えには納得いくところがある.

今の日本の会社の状況について述べる前に,

「まず学生・若者に将来なにがしたいのか.」
についてはっきり答えられるようにしなくてはいけないのかもしれない.

2010年4月14日水曜日

「現役に活躍していたスポーツ選手が素晴らしい監督になれるわけではない」 第1回イノベーションケーススタディ

この授業では,企業(三菱UFJ信託銀行、ATカーニーなど)の方が講師をしていただき,
イノベーションマネジメントに関する実体験を行うということである.

第一線で活躍する講師陣による講義,ケーススタディ,グループワークを通じて
ビジネスの現場における理解を深めることを目的としている.

現場におけることが重要視されているのは,
僕たちTMIの学生の大半が社会に出たことがないためである.

今の日本では,経営者が育っていないことが問題の一つとしてある.
しかし,

「現役に活躍していたスポーツ選手が素晴らしい監督になれるわけではない」
ことと同様に,
仕事をしたことがない僕たちでも本講座によって,
将来の経営者になれる「かも」しれないということである.
◇授業メモ
・「技術に優れる日本企業がなぜビジネスで負けるのか」
・TMI正解がある問いを解くのはうまいが、解のない問いは解くのは苦手ということだ.
したがって,自分で考えること大事である.
・我が国の輸出依存度は実は低い
・日系企業は低収益体質


課題①「日本企業は何故グローバル競争で負けるのか?事例を示し,その理由を考察しろ」

課題②「経営とはなにか?」
「経営とは○○だと思う.なぜならば…」を自分の言葉で表現しろ.


2010年度 授業スケジュール4月6日(火):オリエンテーション
・ 産学連携プログラムの趣旨
・ 協力企業の紹介
◆ATカーニー
◆三菱UFJ信託銀行
・ 講義の流れ、成績評価方法など

【ATカーニー】
4月13日(火):日本企業が直面している技術課題
(山本直樹氏:ATカーニー、パートナー)
・ オリエンテーションと各回の概要の説明
・ 次回に向けた宿題の提示

4月20日(火):経営戦略と技術戦略
(山本直樹氏:ATカーニー、パートナー)
・ ITメーカを事例に、経営戦略と技術戦略の整合のとりかたについて議論する
・ (ケース)IBM, HP, SUN, DELL, マイクロソフト

4月27日(火):産業構造の変化と求められる対応
(山本直樹氏:ATカーニー、パートナー)
・ 技術進化が携帯端末の産業構造にどのような変化を与えたかを分析し、これらの変化への対応の巧拙が各社の業績にいかに影響を与えたかを探る
・ (ケース)Nokia, Samsungと日系メーカ

5月11日(火):成熟期における成長戦略とR&D
(山本直樹氏:ATカーニー、パートナー)
・ 市場や産業が成熟した環境下において、いかにして成長をドライブしていくのか。そうした中でR&Dの果たす役割について議論する
・ (ケース)移動体通信事業

5月18日(火):日本企業の成長戦略
(梅澤高明氏:ATカーニー、パートナー、日本代表)
・ これまでの議論の纏めとして、国際競争下における日本企業の成長戦略を探る
・ 企業成長のドライバーを類型化しながら、それぞれのベストプラクティスから戦略策定/推進の要件を探る

【三菱UFJ信託銀行】
5月25日(火):信託の仕組みとSRI
(加藤正裕氏:三菱UFJ信託銀行投資企画部主任調査役)
・ 信託の仕組み
・ SRIを取り巻く環境
・ SRIファンドの潮流
・ SRIファンドの今後の方向性
・ 今後の検討課題
・ ディスカッション

6月1日(火):買収防衛を巡る状況(1)
(田中邦晴氏:証券代行部ストックソリューション室室長)
・ TOB規制の概要
・ 買収防衛策の導入(新規・継続)事例とその傾向
・ 買収防衛策に対する投資家・株主の評価
・ 買収防衛策の限界と企業側の取組み
・ 敵対的買収攻防の実際(事例研究)
・ 次回ケースの紹介

6月8日(火):買収防衛を巡る状況(2)
(田中邦晴氏:証券代行部ストックソリューション室室長)
・ ケーススタディ(課題は6月1日の講義で提示)

6月15日(火):退職給付会計と年金制度(1)
(中込信之氏:年金コンサルティング部調査役、年金数理人)
・ 退職給付会計の概要
・ 退職給付会計が企業財務に与える影響
・ 年金制度の見直し(給付減額と受給権保護)
・ 年金制度の見直し(事例研究)
・ 次回ケースの紹介

6月22日(火):退職給付会計と年金制度(2)
(中込信之氏:年金コンサルティング部調査役、年金数理人)
・ ケーススタディ(課題は6月15日の講義で提示)

【ケーススタディ1日コース】
6月29日(火):味の素:内容についてはTBA

7月6日(火):経済産業省:内容についてはTBA

2010年4月12日月曜日

技術経営戦略学基礎(ブートキャンプ)の授業メモ③

4月8日(木)
2限:社会と技術
技術経営戦略ってなに?
・技術経営(MOT)は実務に近く,現場サイドの要求が強く,アカデミックな分野として成立させるのは困難.
・実務に近いため,現場を知らないと学ぶことは難しい.
・したがって,国の視点から技術の戦略を考える必要がある.そのため,この専攻名に「戦略学」が含まれている.
・技術とは「知識の蓄積と活用」
・生産性が高くしていくと,国として成立しなくなる.ドバイなどの小国は例外.
・「生産性が高くなる=人を切ること」を意味する.
・日本は外からみると儲かっている.でも,国内は不景気という変なことが起きている.
・知識集約型=創造性に価値がある
・日本のように人口が減少している国で生き残るには,付加価値が高いものをやらないといけない.
・コストをかける=セキュリティがある.
・従来:役に立つ物ができる=付加価値がつく
 現在:役に立って当たり前=付加価値がつかない
・メーカは差別化したいが,もはやマーケットをコントロールできない.
・経営は勉強では身に付かない.
・2番手戦略が通用しない時代.Winner takes all.
・「マスコミは嘘はつかないが,必要なことも言わない.」素人の僕たちは気をつける必要がある.
・仕組みによる無意識の社会貢献が必要

3,4,5限:環境・エネルギー学入門
・我々のやるべきこと
① 日本における再生可能エネルギーの導入量の最適化
② コストパフォーマンスに優れたオリジナル政策の立案
③ これらの裏付けデータ調査とシミュレーション
④ 政策に制御工学・システムダイナミックス・均衡理論を取りこんで社会に貢献していく

4月9日(金)
2限:財務会計の概念
・「収益」「費用」「資産」「負債」「資本」の5つが重要
・B/Sから利益の算出について

3限:知的財産学入門
・企業のIntangible assetは80%を占める.
・知的財産+ビジネスモデル=企業競争力
・日本はたくさん特許があるけど,ビジネスモデルにつながっていない.

4,5限:企業経営論/技術経営論
・共通の言葉(経営語)を知っていることが重要
・日本のR&D/GDP は3.5%
・日本は科学技術立国と呼ばれているが,特定の分野に対する投資に偏っているため,必ずしもそうではない。

技術経営戦略学基礎(ブートキャンプ)の授業メモ②

4月6日(火)
2限:数理科学の基礎①
・最小二乗法・サンプリング定理・フーリエ解析・ウェーブレット解析
についての説明があった.

3限:数理科学の基礎②
・工学系を出た証として,数学・物理も努力をし,身につけてもらいたい.
・理解できる能力は,コミュニケーションする際には重要なこと.
・工学系とは近似の学問.

5限:情報科学の基礎①
・ベイズの定理
・Facebook:ユーザ数3~4億人
・Twitter:ユーザ数0.5億人
・最近日本ではTwitterは流行っているが,世界全体でみるとそこまで盛り上がっているわけではない.
・間接民主制はウェブによって変わるかもしれない.
・ウェブはベンチャービジネスと相性がいい
① マーケットに伸びがあり,進歩が速い
② 参入障壁が低く,ニッチから攻めやすい
③ 固定費ではなく,サーバや通信コストなどの変動費のみで済む

6限:情報科学の基礎②
・Perl,C言語によるプログラミングの基礎を復習.
・エージェント=自律的に行動する主体
・アナリシス(順問題)=自然の理解・シンセシス(逆問題)=人工物の創出
・アナリシス=存在(複雑な事物)を(分解して)理解する.
・シンセシス=新奇(複雑な事物)を(合成して)創る.
・創発:部分の単純性から全体の複雑な秩序が生成する.

技術経営戦略学基礎(ブートキャンプ)の授業メモ①

ブートキャンプで気になったこと,
重要と思ったことを簡単にメモしておく.

4月5日(月)
3限:技術経営戦略学とは
・日本の経済状況の説明があり,今の日本を一度は衰退していた旭山動物園のように,復活させる方法を僕たちが考える必要がある.

4限:科学技術による社会貢献
・産学連携はまだ新しい.したがって,今後のあり方について考えていく必要がある.
・東大は産学連携のフロンティアを走っている.
・「今の産学連携には,なにが正しいかはない.ただやるしかない」

以下の7つの質問に対して①か②かの意見が求められた.
どれも産学連携を考えていく場合,
はっきり自分の意見を言えるべきことであると感じた.

Q1. 大学の使命と産学連携
① 大学における研究教育は広く社会に役立てるものであって,特定の企業との共同研究は大学の成果を限られた人/組織にだけ与えることになるので,大学の社会的使命に反する.また企業からの資金で研究すると,大学の学問の自由が侵される心配がある.
② 大学で生まれた研究成果はイノベーションの源であり,広く社会に活用してもらうためにも,説教的に企業との共同研究を進めるべきである.

Q2. 研究成果の活用のために
① 大学で生まれた研究成果は,広く世界従に無条件で公開すべきであり,特許などで囲い込むべきではない.
② 大学で生まれた研究成果は,移転可能な技術成果(特許等の知的財産)にしなければ,産業界で活用することができない.

Q3. 特許は誰のもの
① 大学で生まれた特許等知的財産は,発明した個人に帰属すべきである.その知的財産の活用についても,発明者の意向に沿ってなされるべきである.
② 大学で生まれた特許等知的財産は,原則大学に帰属すべきである.その知的財産の活用については,大学の知的財産ポリシーに基づいてなされるべきである.

Q4. 学生の発明は誰のもの
① 学生じゃ東京大学の教職員ではないので,学生のなした発明は学生個人に帰属すべきである.(学生が出願人)
② その発明が,教職員の指導の下,大学の設備を使用してなされたものならば.その発明が原則大学に帰属することに学生は合意すべきである.(大学が出願人)

Q5. 大学発ベンチャーは有効か
① 大学で生まれた研究成果を社会に普及させるためにも大学発ベンチャーを積極的に起業すべきである.
② 大学で生まれた研究成果は,技術力と資金力があり継続的な発展が期待できる大企業での事業化を第一に考えるべきである.

Q6. 不実施補償は必要か 
不実施補償とは
参照:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20060308/114367/

Q7. 研究開発と特許の関係
① 大学での研究開発はその成果が直接利益を生むわけではないので,特許は自由に使えるようにすべきである.
② 大学での研究開発といえども,その成果が最終的には利益を生むことがあるので,特許を自由に使うことは許されない.

2010年4月11日日曜日

技術経営戦略学基礎(ブートキャンプ)

1週間があっという間に過ぎた.

入学式が4月12日だったので,てっきりそれまで授業がないと思っていたが,
どうやらそうではないみたいだ.

TMIは今年から初週に毎日4コマ連続の集中講座「技術経営戦略学基礎」
(別名:ブートキャンプ)を行うことにしたらしい.

ガイダンスが終わってから,さっそくブートキャンプがはじまった.

授業日程は以下の通りだった.

月曜日
3限:技術経営戦略学とは
4限:科学技術による社会貢献
火曜日
2限:数理科学の基礎①
3限:数理科学の基礎②
5限:情報科学の基礎①
6限:情報科学の基礎②
水曜日
2限:経済学入門①
3限:経済学入門②
4限:統計学・計量学の基礎入門①
5限:統計学・計量学の基礎入門②
木曜日
2限:社会と技術
3限:環境・エネルギー学入門①
4限:環境・エネルギー学入門②
5限:環境・エネルギー学入門③
金曜日
2限:財務会計の概念
3限:知的財産学入門
4限:企業経営論/技術経営論①
5限:企業経営論/技術経営論②

TMIに来ている学生は,学部時代に勉強していた専攻がバラバラなことを考慮して,
まず初週でTMIに必要な基礎知識を補うことが目的とのこと.

学部時代は授業1コマが90分だったのに対して,
院では1コマ100分.
それに加え休憩も昼休みの1時間を除き,
休憩は5分のみ.
それでこの日程では,たしかに

ブートキャンプだ…
後半はどちらかというと,
「学ぶ」より,「耐える」感じになってしまったことは反省.

そんな感じで最初の週が終わった.明日は入学式だ.