それには,未来洞察手法である「スキャニング」を使うことになる.
この「スキャニング」についてだが,
もともとは1960年代にスタンフォード・リサーチ・インスティテュート(SRI)が,
開発した手法がベースとなっているそうだ.
既存のトレンドや業界潮流だけを見ていたのでは,
インパクトのある未来予測を見過ごす可能性が多いにある.
また人間が未来予測をするときには,どうしても線形的な発想になりやすい.
そこでまず対象テーマとは全く異なった業界や生活者から,
インパクトが強いと思われる未来観(ニュースや視点)を収集し,
コメントを付け加えた簡単なミニ資料を作成する.
これをスキャニング・マテリアルと呼ぶ.
そして,このスキャニングマテリアルから,
帰納法的な思考で既存の見方に縛れない未来の可能性の発想をする.
あらかじめこのスキャニングマテリアルを準備してくださっていた.
その数は180個!A4の紙にマテリアルが10個ほど印刷された冊子を渡された.
したがって,個人ワークとして私たちはそれにざっと目をとして,
「近未来の可能性」を示唆していそうなマテリアルだと直感的に感じたものを,
5〜10ほどピックアップすることになった.
ただしそのマテリアルの内容に関して,以下の注意があった.
①賛成か反対かを問うてはならない.
②熟読したり,統計的に分析したりしてはならない.
③自分自身がこれまでに知らなく,新鮮に感じたものを重視する.
そして,最後に一番重要だと念を押されたのが,
「農業に関することはいまここで一度全部捨てなさい」
ということだった.
その理由としてスキャニングは,今回のテーマの業界視点や企業視点ではなく,
生活者視点で見た社会全体,および生活全体について考える必要があるからだ.
こうして私たちは「日本の農業」のことを一度忘れ,
180個におよぶスキャニングマテリアルから右脳を使った直感で,
選択する個人ワークに入ったのだった.
東大生は「スキャニング」から社会変化仮説を考えた.へ続く...
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